第12話: ぶっこみマーケッター メグミさん Part.4

こんにちは、シシ坊です。

猪生初の婚活相手、メグミさん(32)との池袋デートをそれなりに楽しむ私。

しかし、メグミさんのぶっこみ癖がいたるところで炸裂し、翻弄されます。

前回の記事はこちら↓↓

第11話: ぶっこみマーケッター メグミさん Part.3

 

■赤羽のせんべろ居酒屋へ

夕暮れ時まで池袋で時間をつぶしたあと、メグミさんとふたりで埼京線に乗って、赤羽まで向かいました。

15時半すぎに会ってから、すでに三時間ちかく行動をともにしていました。

さらにこのあと赤羽のせんべろで少なくとも一時間は呑むのでしょうから、二回めの婚活デートとしてはかなり長いコースです。

よく知らない異性と何時間も一緒にいるのは気力を使ううえ、

季節も真冬なので、外にいるだけで体力も消耗します。

それでもシシ坊は楽しい気持ちのほうが余裕で勝っていたため、とくに苦痛を感じたりはしていませんでしたが、

メグミさんがどう思っているかわからないので、念のためたずねてみました。

「赤羽行けそうですか? 疲れてたら中止でも構いませんけど」

「だいじょうぶです、もともとせんべろ行くのが目的ですから」

そうですね。池袋デートはシシ坊が後から追加したものなので。

いずれにせよ、前向きな返事で助かりました。

 

■せんべろにぶっこむメグミさん

赤羽駅を出て、せんべろが集まっている一番街という通りに向かいました。

赤羽には今まで何度も来たことがあるのですが、一番街へ呑みに来たのははじめてでした。

通りに入って両端を見渡すと、庶民的な風情の居酒屋がたくさん並んでいます。

まさに今から呑み始めという時刻でしたので、どの店も活気づいていて、なかなか楽しそうな予感がしました。

「いい感じのところですね」

とメグミさんが言いました。気に入ってくれたようで良かったです。

一番街をある程度奥まで進んだところで道を曲がり、OK横丁という小さなわき道に入りました。

OK横丁は一番街よりさらに通ごのみの、隠れ家的な居酒屋が並んでいます。

魅力的な雰囲気ですが、一見さんが入っていくにはある程度勇気がいるところでもあります。

一番街のほうに、入りやすそうで興味をひく店がいくつかあったので、引き返すという手もありました。

ところが、ここでメグミさんが安定のぶっこみを見せつけます。

彼女はその時、横丁の良さげな雰囲気のお店に目を止めました。

見た感じ、せんべろよりも少し価格帯が上の居酒屋だったのですが、

入口前に立てられていたメニュー表をメグミさんはサッと一瞥すると、

「入りましょう」

と言い放ち、店の扉を勢いよく開けて中に入ってしまったのです。

出た、ぶっこみのメグミ!!

あっとその時意表は突かれたものの、もはや大して驚きません。

店じたいは良さそうな感じでなにも文句はないので、メグミさんの後を追って店内に入りました。

しかし……彼女のこの、同意もないのに躊躇なく即決する力は、本当にすごいものがあります。

もしかすると彼女にとっては、シシ坊が優柔不断なくらいに見えているのでしょうか?

寒い中、外を歩き回っていたので、じっさい早く決めたほうがいいには違いありませんが、

しかし、しびれを切らすほど迷っていた訳でもありません。

このぶっこみ癖、今はまだ面白く思えているけれど、今後交際がすすめばどう思いが変わるかわからないな……

と思いつつ、呑みタイムがはじまりました。

 

■まさかの全額出し

居酒屋でのメグミさんとの会話はつつながく進みました。

もうかれこれ五時間は一緒にいるのですが、疲れて間延びしたり、会話がとぎれて気まずくなるといったことはありませんでした。

メグミさんがワンフェスのカタログを持っていたので、ページをめくりながらゲームやアニメの話をしたり、そこからお互いのプライベートの話に移ったりと、場つなぎはできていたかなと思います。

内容的には浅い話でしたが、二回目のデートならばこんなものでしょう。

お酒も料理もひと通り片付いて、私たちはそろそろ帰ることにしました。

お会計伝票を店員さんからもらうと、金額は六千円弱でした。

メグミさんは伝票をのぞきこんだ後、財布から千円札を数枚出してきました。

シシ坊は、もうここは割り勘でいいかなと思っていたので、彼女がお金を出すのを止めませんでした。

男性にデート代を全額払わせて、自分が大切にされているかどうかを判断するような女性ではないのでしょう。

割り勘をすすんで申し出る女性はべつに珍しくないですし、

対等に払ったほうが彼女の気持ちが満たされるなら、むろんそのほうがいいので、

シシ坊はメグミさんから千円札の束を受け取りました。

ところが、です。

千円札は六枚ありました。

メグミさんは、呑み代の全額を出してきたのです。

これは、予想外です……

「あれ? こんなにいらないですよ」

シシ坊はそしらぬ顔で半分返そうとしましたが、メグミさんは、

「ここのほかは全部出してもらってるので」

と義理堅くゆずりません。

気っ風のいいアネゴか!?

ここはヘタに突っ返すとかえって良くない、とシシ坊は思いました。

かといって全額おごられるのも、のちのち良い展開にはならなそうな気がしたので、

「では、半分だけ頂きます。ありがとうございます」

と言って、三千円を差し出しました。

するとメグミさんは存外おとなしくお札を受け取ったのですが、

この時はたして裏で何を思っていたのかは、現在までわからずじまいです。

 

■手応えがあるような、ないような

お店を出て赤羽駅へゆき、埼京線のホームで別れたのは20時半ごろでしょうか。

終始悪くない雰囲気でデートは進んだし、全体を通して及第かな、という自己評価を出せました。

ですが、今後もメグミさんと交際を続けられる手ごたえを感じたかというと、よくわかりませんでした。

メグミさんは終始淡々としていて、様子見の域を出てこなかった感があります。

シシ坊自身もまだ婚活をはじめたばかりで、いきなりメグミさん一本に絞って全力を注ごうという考えはありませんでしたが、

このまま彼女と本交際まで行けそうな期待は、じゅうぶんにあったのです。

ところが数日後、

シシ坊は早くも「婚活業界あるある」の事態に遭遇し、その洗礼を受けることになります……

 

次回は、「ぶっこみマーケッター メグミさん編」最終回です。

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