第18話: 50対50バレンタイン婚活パーティ Part.5

こんにちは、シシ坊です。

男女百人が参加する結婚式場でのバレンタイン婚活パーティ、後半フリータイム。

43歳の女性、ミキさんとしばらく一緒にいた私ですが、ほかの女性とも話したくなり、思い切って離脱を図ります。

前回の記事はこちら↓↓

第17話: 50対50バレンタイン婚活パーティ Part.4

■ミキさんと別れ、ひとりになる

「そろそろお互いバラけましょう」

ミキさんにそう伝えるやいなや、彼女の顔から笑顔が消えました。

その虚を突かれたような表情を見たとき、

(あ、伝え方がまずかったかな……)

とその時は思いました。

しかし「ほかの女性とも話したいので」と直接的に言うことはためらわれます。

「飲み物を取りに行ってくる」などと嘘をついてその場を去り、そのまま戻らない、という手も考えましたが、

学生の合コンではないのですし、大人の女性に対してそんな軽薄な態度は取れません。

これが、この時のシシ坊にできる最良の伝え方でした。

「それじゃあ」と一礼して、シシ坊はミキさんのもとを離れ、ひとりになりました。

人の動きのわるいフリータイムで、みずからひとりの立場を選ぶのは、勇気がいるものですね。

ちなみにミキさんはその後どうしたのかというと、

しばらく後で目にしたときは、女性同士で輪をつくって女子トークに花を咲かせていました。

そのままフリータイム終了まで、男性と交流することはなかったようです。

むろん最後は男性とカップリングすることなく、お一人で会場を去る姿を見かけました。

だれからも選ばれずひとりになった時、なすすべがないのが女性のつらいところでしょう。

ほぼ年上という理由だけで、ミキさんをバッサリ切り捨ててしまったような気もして、すこし心が傷んだのですが、

「どうしても気が乗らない」と本音が訴えている以上は仕方がありませんでした。

シシ坊だっていち参加者なのですから、本音が「気に入った!」と認めるような女性とカップリングして、より良い結果を残したいのです。

■ブルートフォースアタック

フリーとなったシシ坊は、会場を練り歩きながら、気になる女性がいないかと目を光らせました。

ざっと見た感じ、顔やスタイルが良い女性のそばには、ほぼ男性が張り付いていました。

一対一でお話している男女もいましたが、女性ひとりに対し、男性数人がむらがっているような形も目立ちました。

17話でお話したとおり、このパーティのフリータイムは男女ともに動きが活発ではないので、

女性に張り付いた男性たちがいなくなるまで待つ、などと紳士ぶるのは悪手です。

いい感じの女性をつかまえたいならば、あいだに割り込み、ライバルの男性と奪い合いをする覚悟がいるのです。

さいわい、シシ坊はフリータイムのそういった戦いが好きではないけれども、得意なほうでした。

好きではないというのは、やはりストレスを感じることが多いからで、

勇気をふりしぼって接近した割には、女性に軽くあしらわれたり、ほかの男性と争い負けて屈辱を味わったりすることが、人並みに嫌だからなのですが、

女性に声をかけてアピールすること自体は、苦手ではありませんでした。

もともと根っからの恋愛体質で、恋愛に時間を使ってきたぶん、好意をあらわにすることが大して恥ずかしくないですし、

いろいろな女性のことを考え、エネルギーを燃やすことが苦ではなく、むしろ快感なのです。

また、フラれたり痛い目にあってきた経験値もあるので、色恋で失敗することに耐性がありました。

(よし、片っ端からやってやるぞ)

シシ坊は、本当に片っ端から目についた女性にドドドド……と突進し、奪い合いを仕掛けるというブルートフォースアタックをはじめたのです。

猪の得意技ですね……

■失敗に失敗を重ねた末に……

ブルートフォースアタックは力ずくの総当たり戦です。

駆け引きも何もあったものではなく、たんに男性が群がっている人気の女性に近づき、いきなり会話に割り込んで、流れを変えようと試みます。

興味をもってくれる女性が現れるまでこれを続けます。

当たりを引くまで失敗を繰り返すだけです。

ただ最低限、ドン引きはされないように「あなたと話をしたくて、突然だけどやって来た」と、女性へストレートに伝えます。

いきなり懐に飛び込まれた女性も、その取り巻きの男性も、いろいろな反応をします。

なんか空気を読まない人がきた……何この人……? という雰囲気になることもあれば、

笑顔で相手はしてくれるものの、シシ坊とはあまり目を合わせず、元から張り付いている男性とばかり会話を続けたりします。

ほぼ当たり前のように失敗します。

見込みがなければ、すぐにその場を離れて次へ行きます。

トラの狩りのようなもので、九割の失敗を積みかさねた先の、一割の成功をねらうのです。

これだけ硬直して動きのわるいフリータイムならば、同じ男性とばかり話していて時間がもったいない、ちょっと退屈だ、と思っている女性は必ずいます。

その中で、なおかつシシ坊に興味を持ってくれる女性も、50人中ひとりくらいはいるはずです。

ただ奪うことに何度か失敗すると、さすがに疲れてきました。

そういう時は、ひとりでいる女性にも話しかけてみました。

「話しかけてくれて嬉しかったです! 誰も声をかけてくれなくて、もういいや、今日は食べて楽しんでやる! って思っていました」

会場の隅っこで、目立たないようにケーキを食べていた30代後半の女性に話しかけると、そんなことを言っていました。

ひとりでいる女性や、女性同士でかたまって壁をつくっている人たちは、男性を寄りにくくしているそれなりの理由が見えるのですが、

この人の場合は、もう少し自分に自信を持ったほうがいいのでは、と心配になりました。

■ついにチャンスを見つける

トライ&エラーを繰り返して、フリータイムの残り時間が30分を切ったあたりのことです。

会場のトイレの前を通りかかると、トイレ脇の壁を背に、ひとりで立っている女性がいました。

よく見ると、男性に人気がありそうな美人です。

見た目も若く、20代後半くらいに見えます。

こんなにいい感じの女性にどうして男性が張りついていないのか?

理由はわかりませんでしたが、

これはまたとないチャンスでした。

シシ坊はとっさに歩く方向を変え、ドドドド……! と彼女にむかって突撃していきました。

「こんにちは、今、おひとりですか?」

精一杯のキメ顔とポーズを取って、声をかけました。

続きます。

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