こんにちは、シシ坊です。
猪生二回めの婚活パーティでカップリングした相手、13歳年下の薬剤師アユナさんと一度も会うことなく交際終了した私。

大本命だっただけに落ち込んだものの、仮交際の相手がひとりもいなくなったわけではありません。
同時進行で参加していた別の婚パで、カップリングに成功していた女性がいたため、そちらに気持ちを切り替えることにしました。
前回の記事はこちら↓↓
第22話: 資料こだわり薬剤師アユナさん Part.3(終)
■初のアラフォー女性トモコさん
猪生三人目の婚活カップリング相手はトモコさんという女性でした。

39歳、年収350万円の事務員で、出身は新潟だそうです。
背は150センチ半ばほどの小柄な女性で、お話するのが好きなのか、トークの受け答えが軽妙で嫌味がなく、多くの人から好かれそうな印象でした。
彼女をふくめた五人の女性参加者の中から、第一希望でマルをつけ、めでたくカップルとなれました。
婚活パーティが終わったあと、ふたりで会場を出てすぐのところにある喫茶店に入り、コーヒーを一緒に飲みながらお話をしました。

お互いの近況、家族構成、趣味、スムーズに仲良く話が進んでいきます。
トモコさんの初日の印象は正直、可もなく不可もなくといったところでした。
初回のメグミさんや二回めのアユナさんのような、突き動かされるような高揚感は感じません。
これはやはり、年齢の基準をゆるめたことが原因のような気がします。
それまで「10歳以上年下」でえらんでいたのを、「年下なら何歳でも可」としたことで、
40歳前後の女性も候補に入れることになりました。
これは理性で本能をおさえこんだ現実的な決定であり、若い女性にあれだけ執着していた自分が、ただちに本音までをも塗り替えることは、当たり前ですができませんでした。
この高揚感のなさは、ある程度予想していたことです。
ただ、それは決してトモコさんが気に入らないという意味ではありません。
なんだかんだで同年代の女性はやはり落ち着きます。

同じ時期(90年代〜2000年前後)に青春を過ごしただけあって、共感できる話題も多いですし、
若さというエサを前に暴走しなくて済む安心感がありました。
■観に行きます?

途中、話題が映画やドラマの話になりました。
好きな映画や、おすすめの海外ドラマの話をしていて、その話の流れでトモコさんが、
「このあと『フォルトゥナの瞳』を観に行く予定なんです」
と言いました。
『フォルトゥナの瞳』は(2019年2月当時)公開されたばかりでしたので、話題の映画じゃないですか、いいですね、とシシ坊があいづちを打つと、
「観に行きます?」
と出し抜けにトモコさんに訊かれました。
(え、観に行きます? って……?)

いつ、誰と?
何を?(これは映画だろうけど)
主語も目的語も抜けおちているため、意味をはかりかねました。
ただ単に興味の持ちようをたずねる意味で、観に行きたくなった? と訊かれたのか、
それともこれから一緒に映画を観に行かない? というお誘いのつもりなのか、よくわかりませんでした。
しかしついさっき、婚活パーティでカップリングしたばかりの関係ですから、まさか後者だとは考えにくいです。
シシ坊はとっさに前者の意味だと判断し、
「まあ、そうですね」
と、どうとでも取れる返答をしました。

超テキトーですね、我ながら。
■再び「観に行きます?」
喫茶店に入って小一時間ほどたち、そろそろ出ようか、となりました。
席を立ち、お会計を済ませようとするとトモコさんが再び、
「どうします? 観に行きます?」

と訊いてきました。
シシ坊はそこでようやくトモコさんの言いたいことに気づきました。
まさかの初回から映画デートコースに誘われているのです。
「あ、今から(ご一緒に)ってことですか?」
「あ、はい」
念のために確認すると、トモコさんは少し恥ずかしそうに答えました。
おそらく恥ずかしくて、「今からふたりで一緒に行こう」と具体的には言えず、「観に行きます?」としか言えなかったのでしょう。
もう夕方になっていたので、今から映画を観に行くとなると、上映終了は20時を回ります。
ですがシシ坊はとくに疲れてもおらず、その後の予定もなかったので、
「じゃあ行きましょう!」
と快諾しました。
一般的には、当日知り合ったばかりの婚活相手といきなり映画を観に行ったり、観光地へのデートをするのは、あまりないことかもしれませんが、
シシ坊はなぜかこの、いきなり●●しちゃう系の出来事がよくありました。
初回だから、とヘタに間をおかず、距離を詰められるチャンスがあれば初回からでも一気に詰めに行くタイプなので、こういうサプライズは大歓迎です。

トモコさんはさっそくスマホを駆使して、『フォルトゥナの瞳』のチケットを押さえました。
シシ坊の知らないサイトを使い(ムビチケだと思いますが)、池袋の映画館での前割料金で座席をふたつ予約してくれました。
シシ坊は直前に映画を見たいときには、正規料金での予約方法しか知らなかったので、なかなか頼もしかったです。
かくして、ふたりで池袋駅の地下道を通り抜け、日暮れの繁華街へと向かいました。
続きます。
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