第25話: 終電黙殺すり足事務員トモコさん Part.3

こんにちは、シシ坊です。

39歳事務員トモコさんと、カップリングした当日からいきなり映画を観に行くことになった私。

トモコさんの外股すり足歩きや旺盛な食欲から、

「もしかして太っている?」という疑惑がわきます。

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第24話: 終電黙殺すり足事務員トモコさん Part.2

■映画を観終わったあと

映画『フォルトゥナの瞳』の上映が終了し、劇場を出てきたのは20時半ごろでした。

ホットドッグとフライドポテトを売店で注文したのは正解でした。上映中におなかが空かず、鑑賞に集中することができました。

トモコさんに至っては、デザートつきのフルコースを堪能したので、まったく問題なかったでしょう。

「どうでした?」

出口へ向かう途中で、シシ坊はトモコさんに映画の感想をたずねました。

「うん、良かったかなーと。DAIGOがクズで面白かったです」

この映画では、DAIGOが主人公に絡むチンピラ役を演じていました。

「DAIGO、なかなかのクソでしたね」

シシ坊も合いの手を返しました。

映画の全体的な感想は、なぜかあまり語られませんでした。

■焼き鳥屋さん

(さて、これからどうするか……)

シシ坊は考えました。

今日カップリングしたばかりのトモコさんと、お茶だけのつもりが映画鑑賞までしてしまい、すでに四時間以上、行動をともにしています。

よく知らない異性とそれだけ一緒にいれば、気を張り続けるのに疲れてくる頃です。

時間は20時半、おなかも満たされています。このまま帰るのが妥当でしょう。

であれば何も言わずに帰路につけば良かったのですが、シシ坊はここで、

「帰りますか? それともどっか寄ってきます?」

と、いちおう選択肢があるかのような形でたずねました。

ほぼ、「帰ります」という返事が来ることを予想していました。

トモコさんも、よく知らない男性と四時間もいっしょにいて気疲れしているはずです。

ところがトモコさんの返事は意表をつくものでした。

「あの焼き鳥屋さんってこのへんですか?」

とつぜん、謎の焼き鳥屋が会話に出現しました。

(焼き鳥……? いったい何の話ですかトモコさん!?)

予想していなかった返答にシシ坊は戸惑いました。

ですが、すぐに思い当たることが頭にうかびます。

喫茶店での話題の中で、池袋にある高級焼き鳥店の料理が大変おいしかった、という話をシシ坊がしていたのです。

「ああ! ▲▲のことですか?」

そう訊き返すと、「はい」とトモコさんはうなずきました。

トモコさんの質問の意味はわかりました。

しかし、意図がわかりません。

帰るか否か? という問いには答えず、焼き鳥屋の場所を逆にたずねてくる目的はなんなのでしょう。

■帰りたいの? 呑みたいの?

(もしかして、これから焼き鳥屋さんに行きたいという意思表示?)

シシ坊はそう推察しました。

デートを続けること自体は構いませんでした。少し疲れてはいましたが、この頃のシシ坊は婚活をはじめたてで、女性との出会いが楽しくて仕方がない時期でしたし、

また翌日はお休みなので、帰りが遅くなることも問題ありませんでした。

ただ、くだんの焼き鳥屋さんは高級店です。一般庶民がその場のノリで一杯ひっかけに行くような、気安い店ではありません。

おごるのは完全に予算オーバーで、たとえ割り勘でも痛い出費です。

「ちょっと遠いんですよね、西口のほうで……」

とりあえず事実だけを答えてみました。

その焼き鳥屋は池袋駅の西口にあり、サンシャイン通りから行くには距離があったのです。

トモコさんは「ああ……」と軽くうなずきました。

それ以上食いついてこなかったので、とくに店の情報が知りたいわけではないようです。

「そのへんでちょっと、呑みますか?」

もう面倒なので、踏み込んでみました。

もう帰りますか? という質問はすでに先ほどしましたし、そこで帰るとトモコさんは明言しなかったのですから、

これはもう、まだデートしたいという意味なのだろうと推測したのです。

「あっ……じゃあ、行きますか」

トモコさんはすこし微笑んでそう答えました。

どうやら読みは当たっていたようです。

なかなか可愛いかも? とその様子をみて思いました。

太っている疑惑があり、真意のわかりづらい物言いをする人ですが、自分なりに懸命な意思表示をしようとする姿が、そのときは魅力的に見えた気がしたのです。

■業者のアドバイスを鵜呑みにしない

かくしてデートの延長が決まり、私たちはどこかちょうど良い居酒屋を探すことにしました。

婚活パーティ会場からの喫茶店トーク、映画鑑賞、そして居酒屋と、ボリュームたっぷりの半日コースです。

メグミさんのときもそうでしたが、シシ坊の婚活はなぜか初日から長丁場になるようです。

「婚活の初回デートは食事だけにしておきましょう」

婚活業者や婚活アドバイザーがそんなことを言っているのをよくネット上で見かけますが、

全然そのような展開にはなりません……。

個人的には、こういう業者たちのアドバイスは鵜呑みにしないほうがいいと思います。

よく知らない異性と長い時間をともに過ごすのは、たしかに負担が大きいですから、

初回は短めのデートで切り上げるというのは、べつに間違った話ではないでしょう。

けれど、異性との出会いはどんな化学反応が起こるかわかりません。

相性がよい人に当たれば、たとえ長時間のデートでも、疲労やストレスより快楽が勝ることがあります。

もちろん自分だけでなく、相手の女性(男性)もそう感じていることが前提ですが、

そういう感情を共有できていると直感したならば、食事だけに限る必要など何もないですし、

予定には無かった延長デートを楽しむのもアリだと思います。

イレギュラーなデート体験は印象に残りますし、それが今後のふたりの結びつきを強める一因ともなるはずです。

次回は、居酒屋からの深夜デート突入です。

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