こんにちは、シシ坊です。
39歳事務員トモコさんと、カップリング当日からいきなり映画を観に行った私。

観終わって解散……と思いきや、さらに居酒屋へ呑みに行くことになりました。
前回の記事はこちら↓↓
■結婚ネタを振る
映画館はサンシャイン通りにあったため、次に入るお店さがしには困りませんでした。
せっかく焼き鳥屋の話が出たからということで、近辺にある焼き鳥居酒屋に入りました。

前話に出てきた高級焼き鳥店よりは入りやすい大衆的なお店です。
なんと塩だれキャベツのお代わりが無料でした。

ビールとサワーで乾杯したあと、塩だれキャベツをつまみにぽつぽつとお話を続けました。
ですがさすがに半日もいっしょにいると、話題が尽きかけてきます。
映画を観ている最中は無言なのでその心配はいらなかったのですが、今度はガッツリと向かい合っています。
しかも半個室の席でやや静かなので、沈黙するのは若干気まずい感じもしました。
つねに話題が途切れないよう、次の話題を考えながらお話するのが、なかなか大変です。
(うーん、こうなったら結婚ネタを振ってみようかな)
とシシ坊は思いはじめました。
いくら婚活相手といっても、初日から結婚の話題を掘り下げるのはなかなか難しいものです。
しかし雑談とお互いの身の上話だけでは、もう話が持ちませんし、
お酒も入って気分がほぐれているので、トモコさんの結婚に対する考えを訊き出すのも悪くはないと思ったのです。

ざっくりした話を振ってみることにしました。
■暴走してますよ
「そういえばプロフの、『いつまでに結婚したい?』って欄のことなんですけど……」
まずはそんなふうに切り出してみました。
婚活パーティのプロフィールには大抵、「出会ってからどのくらいの期間で結婚したい?」という質問欄があり、
「すぐにでも」や「一年以内」「まずはお付き合いから」といった回答があらかじめ用意されているので、そこにマルをつけて意思表示ができます。
シシ坊は「一年以内」にマルをつけていたのですが、トモコさんは「タイミングが合えば」という項目にマルをつけていたのが、すこし気になっていました。
「タイミングが合えば」という書き方は含みを持たせすぎていて、いろんな受け取り方ができてしまいます。
タイミングが合うなら半年後でも構わないのか?
タイミングが合うまでは三年でも五年でも待つのか?

「まずはお付き合いから」という項目もそうですが、期間が明らかでない回答は、どうしても覚悟のともなっていない、軽めの回答に感じられます。
それは結婚をいそぐ身からすれば、不安要素のひとつです。
シシ坊が急いでいるから余計そう見えるのかもしれませんが、39歳の未婚女性にしては、やや悠長な回答だなぁ……と思ったのが正直なところでした。
「『タイミングが合えば』にマルつけてたと思うんですけど、具体的に何年以内、というのは考えていたりしますか?」
シシ坊の問いに対し、トモコさんはこう答えました。
「いやあ、正直すぐにでもしたいです……」

それを聞いてシシ坊は少し安心しました。どうやらタイミングが合えばすぐにでも、という意味のようです。
「そうだったんですか。あのマルつけ回答だけじゃ、そこまで読めなかった……」
と感想をもらすと、トモコさんは笑いながらこんなふうに続けました。
「別れたばかりなんで、暴走してますよ……」
■ヤリ目に引っかかった?

トモコさん、また聞き捨てならないキーワードを出してきました。

別れたばかり? 暴走?
ドラマの脚本のような誘導セリフです。
そんなことを聞かされてしまっては、こちらは質問するしか手がありません。
「それって、どういうことですか?」
掘り下げてみると、トモコさんはつい最近、半年ほど本交際していた婚活相手の男性と別れたばかりだということがわかりました。

少し素性のあやしい男性だったようで、彼は休みの日にトモコさんの家に泊まりに来ていたのに、
逆にトモコさんは男性の家に一度も招かれることがなく、そもそも彼の自宅の場所すら知らなかったそうです。
また彼の財布には現金しか入っておらず、免許証やクレジットカード、病院の診察券やポイントカードすら一枚も持っていなかったりと、ちょっと疑問に思う行動が多く、
そこで本気で結婚する気があるのかと問いただしたところ、急に音信不通となり、
やっと連絡が取れたと思ったら、一方的に別れを告げられたとのこと。
行動パターンを聞く限り、既婚者の匂いがプンプンします。
トモコさんはヤリ目に引っかかり、貴重な時間を使わされてしまったのではないでしょうか。
ただトモコさんはその事実を認めたくないのか、そういう結論は出していませんでした。
一見、明るい振る舞いで話していましたが、少なからず傷は癒えていないようです。
■なぜ終電を気にしない?
かくして「別れたばかり」という言葉の意味は判明しました。
ふと気がつくと、時間は23時をまわっていました。
かれこれ七時間もトモコさんといっしょにいることになります。
そろそろ帰らなくては、とシシ坊は終電までの時間を意識しはじめたのですが、
少しおかしいな、と思ったことがあります。
シシ坊の自宅は埼玉県の東京寄りで、池袋から20分も行けば最寄り駅につきますが、
トモコさんの自宅は埼玉県のかなり北側で、シシ坊よりも遠い場所でした。
にもかかわらず、トモコさんに帰りの電車を気にする様子がまったくないのです。

「もうこんな時間」とお開きを匂わせる言葉もなければ、時計を見るそぶりもない。
女性は、どちらかというと帰りの時間をちゃんと意識している人が多いので、その無頓着さに違和感がありました。
このあとシシ坊はトモコさんのもうひとつの発言……
「暴走してますよ」という言葉の意味の、一端をかいま見ることになります。
↓↓気に入って頂けたらクリックをお願いいたします!